・非接触加熱の魅力とは
従来の加熱方法では母材や熱板ステージ、雰囲気、断熱材(炉体)など加熱処理が本来不要な周辺部材を温めてしまい、エネルギーを浪費、暖気のための待ち時間など非効率な運用にもなりがちです。
当社では、小型熱風ヒーター、ハロゲンランプヒーターを中心に非接触で、微小スポット、或いは面加熱などを高効率で加熱することに特化し、適切なエネルギー量を必要な場所にだけ与えることをご提案しております。
工程上のエネルギーの利用率を上げることで、本質的な省エネルギーにも貢献致します。
1. ホットエアーヒーターとは
熱風ヒーター、熱風発生器、ノンフレーム(無炎)トーチなどとも呼ばれる弊社のホットエアーヒーターは金属管の中に電熱線を仕込み、エアー等を供給して熱風を得るというシンプルな構造のヒーターです。
工業用ドライヤーと言えばわかりやすいかもしれません。(但し、内部にファンの構造はなく、外部から導入する構造です。)
外径はコンパクトですが高密度発熱体により、その表面積は非常に大きく、加熱気体温度と発熱体温度の差は300℃程度と非常に熱伝達効率が良いものになっています。そのため通過気体を約900℃まで加熱できるタイプもございます。
下図はSAHシリーズの基本構造図です。各種の形状,サイズの品種がありますが、基本構造はほとんど同じです。
!ポイント
ヒーター線表面に酸化皮膜を生成させていたるため、隣り合う線との絶縁が取れており、巻線を密着させることができます。このことにより全長を短くすることができます。
・特徴
・局所加熱が可能
加熱したい部分を狙う、いわゆる居所加熱が可能です。また、炉内へ熱風を供給するという使用も可能です。
・高速応答、高効率なので省エネ
立ち上がりが早く、効率的に熱風を生成します。従来の暖気運転や待機時予熱など工法を大幅に見直すことで、大きなコスト効果を生み出すことが出来ます。
・各種ノズルを加熱対象に合わせ選択が可能
標準でスリットノズルや先細ノズルなどを準備しています。加熱対象に合わせ選択いただくとともに、特注・試作対応も承ります。
・トライ&エラーがやりやすい
接触式ヒーターのようにステージ等を伝わる金属伝熱等の厳密な熱設計を行わずに、課題のある製造ライン上で、現物でトライすることができます。
トライの段階で、課題を解決する最適なパラメータを選び出せることから、課題解決までの時間が大幅に短縮できます。
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加熱した
ホットエアーヒーター |
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Cノズル(スリットタイプ)
の吹出しイメージ |
・気体別使用可否
気体の種類 |
使用 |
備 考 |
空気、酸素
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オイルミスト、水などを多少に含まないこと。
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窒素、
アルゴン
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不活性ガスは全て使用可能です。但し、空気での使用に比べ、寿命は短くなる傾向にあります。
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水素
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600℃以上で空気中に出た時点で発火します。
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水蒸気
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発熱体に水滴が付着すると漏電、断線します。
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都市ガス、
LPG
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熱分解し、発熱体に炭素が付着します。
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※あくまでも使用時の参考としてください。各気体での使用を保証するものではありません。
2. ハロゲンランプヒーターとは
ハロゲンランプの光をミラーで集光し、非接触でワーク温度を1000℃以上の高温に加熱します。
ハロゲンランプは、85%以上の高効率で、加熱パワーのある近赤外線域の光を発します。
特徴
・高効率、ハイパワー
ハロゲンランプは、投入電力を高効率で放射エネルギー(特に赤外線領域)に変換します。
当社では他社にない高出力のハロゲンランプをご用意しております。
・クリーンな加熱が可能
非接触での加熱が可能です。また、ガラス窓越しなどでも加熱が可能です。
石英ガラス製なので塵やガス類の発生もなく、クリーンルームでの使用にも適しています。
高速応答、高い制御再現性
ハロゲンランプヒーターは、電源ONから数秒で光放射がほぼ100%まで立ち上がります。
従って、必要なときのみ通電、低温域から高温域まで加熱でき、再現性も優れています。
・長寿命で一定のエネルギー放射を持続
ハロゲンサイクルの働きで、長寿命加熱が可能です。他熱源のような経時変化がなく、寿命末期までほぼ一定のエネルギー放射を維持します。
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ランプの寿命はシール部に使用されているモリブデン泊の酸化に大きく影響されます。
このモリブデン泊は350℃付近で始まり、体積が増加、破損し切れる現象となります。
安定して長時間ご使用いただくためにこのシール部の温度を300℃以下とすることが望まれます。
・製品のラインナップ
大きく分けると、3種類のモデルを準備しております。
@線集光型:線状に加熱する「ラインヒーター」
線状に加熱したい、又は幅を持った帯状に加熱したい場合は「線集光型(ラインヒータ)」を選択してください。線集光型はミラーカーブによりコントロールできるのは集光の幅方向となります。
長さ方向で均一な加熱長さが必要であれば、ラインヒータはその必要な均一加熱長さよりも十分に長くする必要があります。
照射距離が短いほど均一な加熱ができる範囲が増えますので、短距離照射ほど有利です。
距離が非常に長くなると、中心からズレる角度により、ほぼ(COSθ)^2で減衰する照射強度となります。
ラインヒーターは一般的に端の方が温度が低くなります。
コンベア上のものを均一に加熱したい場合などは、対象に対して、十分大きなヒーターか、全体を加熱するラインヒーターと端部のみを加熱するラインヒーターを分けて設置する方法を推奨します。
A点集光型:点、もしくは円状に加熱する「スポットヒーター」
ポイントで加熱したいとか円形の範囲を加熱したい場合は「点集光型(スポットヒータ)」を選択してください。点集光型はミラーカーブをコントロールすることにより、ご希望の配光分布に設計することが比較的容易です。
一点に集光させる場合でも円形範囲を加熱する場合でも、照射距離(ミラー開口端から照射物までの距離)は短い方が有利です。光エネルギーのロスが少なくなり、点集光型の場合は集光径が小さくなり、より高温が得られます。
B面照射型:面で加熱する「パネルヒーター」
構成はラインヒーター用のランプを使用し、加熱対象の大きさに対して並設しながら、均一光となるようミラー設計を行います。
ホットエアーヒーター(熱風ヒーター)は安価で自由度の高い加熱源ですが、ホットエアーヒーターでは出来ないことをハロゲンランプヒーターでは実現出来る場合があります。
例えば、次のようなことが必要な場合は、ハロゲンランプヒーターが有利となります。
・面の加熱をしたい
エアーヒーターでも、ノズルの工夫により加熱は可能ですが、例えば100mm四方の加熱など面積の広いものは、ランプのほうが優位です。
・間欠運転(ワークが無い時には電源OFFする)で、省エネ化を図りたい
高速応答で昇温、必要な時間だけの加熱ができ、加熱しない時には電源OFF。暖気運転や待機時間もなく、使いたい時にだけ使える次世代の加熱方式です。
その他、以下のような特徴もあります。
・金属に対する吸収率が遠赤外ヒーターよりも良い
非金属に対してはよくない物もある(差が大きい)。逆にこの差を利用して、選択的な加熱が出来ます。
参考データ:各種物質の放射率(吸収率)
・半透明体(皮膚や塗料や接着剤など)は比較的内部まで入り込み、内部からも加熱されます。
※ハロゲンランプの光の波長域は約1μmをピークとする0.4〜2.5μm域(可視光〜近赤外線域)です。
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