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  ・熱計算の基礎


以下の熱計算を理解することで多くの実践的な場面で問題解決が可能になります。

例えば、
 M[g]の物体をT0[℃]からT1[℃]に温度上昇させるのに必要なエネルギーE[J]はいくらか?  




物体の熱容量Cp[J/k/g]を求めることにより、必要なエネルギーを求めることができ、必要なヒーター容量を知ることができます。

※主な物質のCp値はこちらでご確認ください。

Cpは下記で表すことができます。

 Cp = E / (T0 - T1) / M [J/k/g] ・・・ @

 E = Cp X M X (T0 - T1) [J]

@式より、加熱できる材料の大きさや到達温度も求めることができます。

 M = E / Cp / (T0 - T1) [g] :加熱できる材料大きさ

 T1 = E / M/ Cp + T0 [℃]  :到達温度

次に、必要電力を求めます。

M[g]の物体をt[s]の時間で温度をT0[℃]からT1[℃]に温度上昇させるのに必要な電力P[W]はいくらか?  

 


時間の要素を加えるにはエネルギーをJ(ジュール)で表すのではなくW(ワット)で表します。
1Wは1J毎秒の事です。1[W]=1[J/s]

 E = P X t [J]より

 Cp = P X t / (T0-T1) / M [J/k/g] ・・・A

ここで、も求めるPは下記で表されます。

 P = Cp X M X (T0-T1) / t [w]

A式をもとにM、T1を求める式は下記となります。


 M = P X t / Cp / (T0-T1) [g]:加熱できる材料の重さ

 T1 = P X t / M / Cp + T0 [℃]:到達温度

 t = Cp X (T0-T1) X M / P [s]:所要時間

【参考】
※理科年表のデータにはCpの単位が[J/k/g]ではなく[J/k/mol]で表される場合もあります。

1molの重さは分子量と呼ばれます。分子量は理科年表などのデータブックで知ることができ、分子式がわかっていれば簡単な計算で求めることができます。

例えば、アルミナの分子式はAL2O3です。これはアルミナ原子2個と酸素原子3個で構成されていることになります。
アルミナの原理量27、酸素の原子量16より、アルミナの分子量は27 + 27 + 16 + 16 + 16 = 102となります。
つまりアルミナの分子1molは約102gとなります。

理科年表に拠れば、400K(127℃)の時、アルミナ(=酸化アルミニウム)の熱容量は96[J/k/mol]と
なっており、これを[J/k/g]に換算するためには分子量で割ることで求めることができます。

 アルミナの熱容量Cp = 96 / 102 = 0.94[J/k/g]

※mol(モル)とは数量の他にでアボガドロ数のことです。6.02 X 10^23個。

つまり6の後に0が23個もつく数でほとんど無限大に近い数となります。
分子というものは非常に小さいのでそれだけの数を集めないとg(グラム)で表せる量にならないということです。
水素原子1molは約1g、鉄原子なら1molで約56gとなります。

※1molの気体はどんな種類の気体でも0℃、1気圧の時、必ず22.4L(リットル)になります。
気体の体積はその圧力に反比例し、絶対温度に比例します。
例えば、酸素分子1molは0℃(絶対温度で273K)で22.4Lになります。
これが1000℃(1273K)になると、22.4 X (1273 / 273) = 104.5Lになります。

上記により、xg(グラム)の気体が何L(リットル)になるか、xL(リットル)の気体は何gになるかといったことがその気体の分子量によって簡単に求められることになります。

※これらの熱計算式は熱効率が100%の場合に成立します。
しかしながら実際には熱効率が100%になることは少なく、ほとんどの場合はロスが発生します。
そのため、必要電力はそのロス分も考慮して、大きめの値を採用することになります。
一般的に最低必要現より30%程度の容量を採用することをお勧めしています。


 



 
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